ハワイ・ノースショアで伝統を誇る「トリプルクラウン・オブ・サーフィン」の歴史と知識【2018年大会版】《公式》
大塚和成です!!
「奇跡の7マイル」と呼ばれるオアフ島・ノースショアを舞台に35年以上も続いている「トリプルクラウン」が11月12日〜24日の『Hawaiian Pro』からいよいよ開幕する。
昨シーズンは「Quiksilver」とアイカウファミリーとの30年以上続いた関係が決裂し、ワイメアを舞台とした招待制のスペシャルイベント『THE EDDIE』が見送られ、来シーズンはWSLの『Billabong Pipe Masters』を始めとしたスケジュール変更の提案によって開催が不透明になっているが、今シーズンの「トリプルクラウンは無事に行われることが決定。
50年近い歴史を誇るハワイの伝統的なサーフィンイベント「パイプマスターズ」が消滅の危機!?
▼目次
1.トリプルクラウンとは
2.11/12-24『ハワイアン プロ』
3.11/25-12/6『バンズ ワールド カップ』
4.12/8-20『ビラボン パイプ マスターズ』
トリプルクラウンとは
トリプルクラウン(正式名称Vans Triple Crown of Surfing)とは、毎年11月から12月にかけて、オアフ島・ノースショアを舞台に繰り広げられる3大会の総称。
ハレイワを舞台とした『Hawaiian Pro』、その次にサンセットビーチで行われる『Vans World Cup』は共にQSで最もグレードが高い10,000のため、2019年のクオリファイを目指しているサーファーにとっても非常に重要なイベント。
パイプライン/バックドアを舞台としたトリプルクラウンの最終戦『Billabong Pipe Masters』はCTの最終戦でもあり、ガブリエル・メディナ、ジュリアン・ウィルソン、フィリッペ・トレドの3名によるワールドタイトル争いにも注目が集まっている。 また、怪我で2018年シーズンを棒に振ってしまったケリー・スレーター&ジョン・ジョン・フローレンスが復帰という嬉しいニュースも入り、この二人がタイトル争いを掻き回す可能性もある。
ケリー・スレーター&ジョン・ジョン・フローレンス
「ハワイの子供達は’Vans Triple Crown’のチャンピオンに憧れて成長するんだ。パイプは素晴らしいイベントだけど、このタイトルを獲るには他の会場で勝つことが重要だよ」 サニー・ガルシア
1983年にトリプルクラウンが発祥してから2016年までトリプルクラウンの大半はハワイアンが獲得していたが、その中でも1992年から3年連続でタイトルを獲得。 通算6度の最多記録を持つサニーの強さは驚異的だ。
1)偉大なるチャンピオン
1983年にトリプルクラウンが発祥してから2016年まで、トリプルクラウンの大半はハワイアンが獲得。 初代チャンピオンはマイケル・ホー。 最多記録はサニー・ガルシアの6度。 デレク・ホー、アンディ・アイアンズが4度。 ミスター・トリプルクラウンとも呼ばれるサニーはケリーと同世代で、すでにコンテストはほぼ引退。
伝統の「トリプルクラウン」その名誉と歴史を理解するための5つの知識
「ツアーの大半のプロサーファーがこう言うんだ。’ハワイでのイベントは勝つか叩き潰されるか’のどちらかだってね。トリプルクラウンで勝つにはビッグウェーブに強くなければいけない。でも、ワールドタイトルを獲得するには必ずしもそうではない。トリプルクラウンで勝つことは次の領域に昇格することに繋がるのさ。’Vans Triple Crown’の3つのイベント全てで少なくとも一回は限界までプッシュ出来ずに、’OMG!なんてことだ!自分はここで何をしているんだ’と嘆く瞬間があるんだ」
サニー・ガルシア
冬のノースショアでのサーフィンは究極の世界。 トリプルクラウン、ワールドタイトル、人生最高のバレルを狙うというどのサーファーにとってもリスクはあり、過去に数え切れないほどの犠牲者、敗北者が出ている。
「ハワイは常にサーファーのための究極の試験場。そして、トリプルクラウンは世界で最もチャレンジングな波での能力テストの集大成さ」 ショーン・トムソン
1983年にトリプルクラウンが始まってから多くのワールドチャンピオンが両方のタイトルや、トリプルクラウンのイベントで優勝してきた。 今年タイトル争いをしているガブリエルは2015年にブラジリンとして初のトリプルクラウンを獲得したし、フィリッペは昨年のハレイワを制した。 2014年にはジュリアンがパイプラインで優勝と誰もがワールドチャンピオンにふさわしい活躍をしている。
昨年のトリプルクラウンは例年と違う流れとなり、スモールのハレイワではエアー勝負。フィリッペがブラジリアンとして初制覇。サンセットビーチでは一転してビッグウェーブに恵まれたものの、コナー・コフィンが初めてカリフォルニアにタイトルをもたらした。 そして、トリプルクラウンもカリフォルニアのサーファーとして初となるグリフィン・コラピントが獲得。 ハワイアンにとって不名誉なシーズンになってしまった…。
11月12日〜24日 『ハワイアン プロ』
-オアフ島・ハレイワ
(ハレイワで最も理想的なボトムターンをするトム・カレン )
ノースショアで最も難しい波の一つ、ハレイワが舞台。 完璧なA-frameになることもあれば、川のようなカレントに’パドルマラソン’を強いられることもある。 理想的な西北西ウネリが入れば多くのセクションを持つライトの波に短いながらハイスコアを生み出すことも可能なレフトの波。 「Toilet Bowl」と呼ばれるボーナス的なインサイドセクションが姿を現す。
ハレイワでの長い歴史でいくつもあるドラマの中でも1991年に優勝したトム・カレンのエピソードは今でも語り継がれている。 彼が乗っていた真っ白なモーリス・コールの革新的なリバースVEEのサーフボードにはスポンサーのステッカーがなく、これがサーフィン産業に対しての反抗だと訴えられた。 しかし、当の本人は前夜に完成したばかりのサーフボードをモーリス・コールから手渡され、そのままコンテストに使用しただけのことで全く悪気はなかったらしい…。
11月25日〜12月6日 『バンズ ワールド カップ』
-オアフ島・サンセットビーチ
このサイズのサンセットビーチはまるで獣のようだ
1970年代、パイプラインよりもノースショアのメイン舞台だったサンセットビーチ。
1939年にLorrin Harrison、Gene Smith、John Kellyがホットカールと呼ばれる重い木製でボトムがテールにかけてV型になっているボードでサーフィンしたのが初めてと言われ、1965年には『Duke Kahanamoku Invitational』の開催地にもなった。
1985年まではノースショアのコンテストの中心地でワイメアを舞台としたエディのイベントも1984年にサンセットビーチで始まった。
巨大なフィールド、ラインナップのサーファーを一掃するようなクリーンナップセットやカレント。 世界で最もチャレンジングなブレイクの一つ。 コンディションが決まった時の「West Peak」が最もスコアを出しやすい。
「トリプルクラウンの開催を一年中楽しみにしているんだ。自分にとってコンテストの世界で最も権威のある場所だよ。最高の波で行われるこのトリプルクラウンが大好き。通常、大きくてパワフルな波でサーフィンするし、このようなコンディションでの勝負は最高に気持ち良いのさ」
コナー・コフィン
サンセットビーチでの『Vans World Cup』はQSの最終戦、CTを目指すサーファーにとって最も重要なイベントでもある。
12月8日〜20日 『ビラボン パイプ マスターズ』
-オアフ島・パイプライン
多くのサーファーを虜にするパイプライン
世界中のサーファーを魅了する特別な場所・パイプライン。 長年に渡って多くのワールドタイトルがここで決まり、世界各地で発見された数々のブレイクが紹介された後でもこのブレイクは依然世界最高峰である。
1961年にフィル・エドワーズが初めてサーフィンした場所と言われ、ジョック・サザーランド(ノースショアに’Jocko’s’という自らの名前が付いたブレイクがある)が道を切り開き、ジェリー・ロペス、Rory “The Dog” Russellがバレルを極め、ロペスは「Mr. Pipeline」と呼ばれた。
世界で最も魅力的なレフトのバレルは世界で最も多くの命を奪っている。
シーズン初めの西ウネリによって夏の間に溜まった砂が一掃されてリーフが姿を現すと巨大なバレルが形成されるようになる。 ライトのバックドアは更にシャローで出口がふさがってしまう傾向だが、『Billabong Pipe Masters』で7度の最多記録を持つケリー・スレーターのようにバックドアのバレルで勝利をもたらすサーファーも多い。
「パイプラインのリーフはずっと変わらない。西からのウネリが入ればオープンでホローな波を創り出す。クリーンなウネリが入り続ける限り、エキサイティングな波とコンテストになるだろう」
ジェリー・ロペス
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