プロサーファー辻裕次郎に聞く、チューブライディングのコツ《公式》


大塚和成です!!


サーファーであれば誰もが憧れるテクニックといっても過言ではない「チューブライディング」。

自然が造り出す波のトンネルを“くぐり抜ける”その様は、一見して簡単そうに思われるケースもあるが、ここ日本では、その波に出会う機会すら限られているばかりか、サーファー自身の経験と判断力、そして高い技術も求められる究極のマニューバーである。

そんな上級テクニックであるチューブライディングをメイクするには、どのようなコツやトレーニング方法があるのだろうか。

今回は、JPSAグランドチャンピオンであり、チューブの宝庫ともいえる四国出身のプロサーファー、辻裕次郎にインタビュー。

これからチューブライディングをメイクしたい、またはその成功率を高めたいと考える、中級以上のサーファーが心掛けるべき、いくつかのポイントを聞いてみた。

まずはチューブの波を見つける

当たり前の話しですが「チューブライディング」をメイクするには、チューブになる波が必要です。

もちろん、それ相応の波のサイズがあることは大前提ですが、チューブ=必ずしもビッグウェーブというわけではありません。むしろトレーニングに適しているのは、やや小さめの波ですから、普段からその波をいかに見つけることが出来るかも、チューブを上達するための重要なポイントだと思います。

基本的にチューブの波は、水深が深い場所から一気に浅くなる場所で波が掘れ上がり、チューブが現れます。

そのポイントがビーチなのか、リーフブレイクや河口なのかにより特徴も異なりますが、まずは海に入る前、そのサーフポイントの地形などを注意深くチェックすることが重要です。

チューブはあるのか、どの位置が良さそうか、潮の満ち引きで波の形やブレイクポジションも変化しますので、海の中でサーフィン中もそういった変化を観察して、まずはチューブを見つけることが必要です。

そして当然ですが、その波は自分がチャレンジできる範囲か、危険を伴うものではないかも慎重に判断してください。

狙う場所と位置、狙い方を考える

チューブになる波があれば、早速トライしたいところですが、単純にチューブライディングといっても、ブレイクの様子により狙い方も変わります。

例えば、テイクオフから一気にボトムに降りて、ボトムからタイミングを見計らってバレルインする(チューブに入る)やり方は上級テクニックといえます。

まずはテイクオフと同時に体勢の形を作り、そのままショルダーに張り付くような格好でチューブを狙った方が、最初のうちはメイクしやすいと思います。コツとしては、後ろの手(フロント側のチューブの場合)を水中に入れることでより波に密着できスピード調整もしやすくなりますが、その波に合ったタイミングを捉えることが重要です。

早めにテイクオフして波が掘れるのを待つようなタイミングもあれば、意識的にテイクオフを遅らせてレイトテイクオフと同時にチューブに入る場合もあり、プロサーファーは波の状態によって使い分けています。

また、掘れる(チューブになる)範囲が短い場合でも、ビハインドピーク(進行方向とは逆側の位置、ピークの裏側)から狙えば短い距離でもメイクできる場合があるので、よく観察することが大事だと思います。

上級者向け、バックサイドチューブにおける「グラブレール」でのプルインも、体勢さえ固めてしまえばバランスが安定するため、むしろ簡単にメイクできるケースもあるという。(プロサーファーのお話しです)

しっかりとレールを入れ続ける

チューブを巻く波があり、最適な位置でテイクオフができれば、チューブに「入る」ことは簡単です。難しいのはチューブの中に居続けることと、しっかりと外へ出ること。チューブの中で波に潰されることなく、しっかりとメイクできてこそのチューブライディングです。

チューブライディング中は、当然ながら動けるスペースが限られていますし、波も切り立っているのでバランスが重要。波のパワーゾーンに居続けるわけですから、波に巻き上げられることなく、しっかりとレールを入れ続けるテクニックが必要です。

チューブを狙えるサーファーであれば、普段のライディングはボトム~トップまで波のショルダーを自由に動いていると思いますが、もしチューブメイクのトレーニングをするのであれば、少し掘れた波を利用し、ボトムにもトップにも動かず「波の中腹辺りで、同じ位置に居続ける」という練習がオススメです。

また、チューブを巻くほど掘れあがったショルダーでは、真横よりも気持ちボトム側へ降りるようなイメージを持つのも有効ですので、ぜひ試してみてください。

チューブライディングで注意すべきこと

先ほど、チューブは必ずしも大きい波ばかりではない、というお話しをしましたが、それでも波のサイズとパワーはそれなりのものですし、チューブを巻くほどの波に巻き上げられてしまうのは大変危険です。

チャレンジと怪我のリスクは隣り合わせのため、先に転び方を覚えるのも大事です。

例えばプロサーファーがよく行っているアイランドプルアウト(波のボトムやショルダーに自ら潜り込んで波の裏側へ抜ける回避方法)は、大きい波で失敗すると大変危険です。

波に巻かれるときは、自分のサーフボードと一緒に巻かれてしまうことが最も危険なので、そうならないような位置を常に意識してください。

チューブをメイクするための最適な位置、場所があるのと同様、逆に「居てはいけない位置と場所」も存在します。これはご自身の技術や経験により異なりますが、場合によってはボードよりも前方へ自分から飛び込むような転び方なども覚えておいてください。

無理だと思ったら、自分から早めにプルアウト、待てる時間を少しずつ長くするような練習方法がオススメです。

怖いと感じる波では無理をせず、くれぐれも怪我の無い範囲で、少しずつステップアップするようにしましょう。

今回は辻裕次郎プロより、あくまで一例という形でいくつかのポイントを伺ってみたが、波のサイズやコンディションはもちろん、どのような形でチューブを狙うのかにより、そのアプローチ方法も様々だという。

初級~中級サーファーにとって憧れのテクニックである「チューブライディング」。一歩ずつステップアップするためには、「怖い」と感じるコンディションでは絶対に無理をせず、自身のレベルに見合った条件で、チャレンジする機会を見つけることが重要とのこと。

チューブを狙えるチャンスが訪れたその瞬間、しっかりとメイクできるように、あなたなりのポイントを意識してみてはいかがだろうか。

※種子島でフリーサーフィン中のひとコマ。このサイズでもスイッチ スタンスでチューブ!!(辻裕次郎プロはグーフィースタンス)

辻 裕次郎(つじ ゆうじろう)

生年月日:1985年5月14日

身長:172cm

体重:60Kg

ホームブレイク:海部、徳島

2001年に16歳でJPSAプロ合格。

2011年以降は海外の試合に標準を合わせて各国を転戦し、2014年には念願のJPSAグランドチャンピオンを獲得。

その後も国内外コンテストへ積極的に参戦する傍ら、地元徳島県海部郡のサーフスタイルショップ「BEACH HOUSE -shishikui-」を経営。

JPSAランキングは常にトップシードをキープし、2018年は最終戦を前に国内ランキングは僅差の2位。2度目のグランドチャンピオンにすぐ手が届く位置につけている。

[スポンサー]

303 SURFBOARDS、BeWET

VOLCOM、NIXON、FCS、tools、Vertra、chillout

[主な戦歴]

2010年 ASP 2 star – Murasaki Pro / Kitaizumi, Fukushim, Japan 優勝

2010年 JPSA Beach Sound Pro / Kamogawa, Chiba 優勝

2011年 ASP 2 star – Malibu Hyuga Pro / Hyuga, Miyazaki 2位

2013年 ASP 1 star – Malibu Hyuga Pro / Hyuga, Miyazaki 4位

2013年 ASP 1 star – Taiwan Open / Jinzun Harbor, Taiwan 2位

2014年 JPSA Garuda Travel scene Pro / Bali, Indonesia 優勝

2014年 JPSA All Japan Pro / Niijima Island 優勝

2014年 JPSA グランドチャンピオン獲得

2015年 WSL QS 1,000 × JPSA Billabong Pro Shikoku / Ikumi, Shikoku 優勝

2015年 JASA SURFER OF THE YEAR 受賞

オフィシャルホームページ:http://yujirotsuji.com/

BEACH HOUSE -shishikui-:http://beachhouseshishikui.com/

Surf for OMM |世界の海を渡りながら沢山の人と繋がりを配信する大塚和成(おおつか かずまさ)ブログ

『Surf for OMM』は、大塚和成(おおつか かずまさ)です。世界の海を渡りながら沢山の人と繋がり、自然の大切さとサーフィン文化を配信。仲間内で清掃や復興活動を個人のできる範囲で行っています。

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